睡眠サイクルとは?90分ごとに眠りの中で起きていること
睡眠サイクルの本当の長さ、深い眠りが夜の前半に集中する理由、そして朝のつらさを減らすアラームの合わせ方。90分神話の使える部分と使えない部分を整理します。
著者 Kurt Woleret

アラームが鳴った瞬間、湿ったコンクリートから引き上げられたような感覚で目覚める朝があります。数字の上では8時間。実感としては台無しの朝。その一方で、6時間半しか眠っていないのに、コーヒーが落ちきる前からすっきり立っている朝もある。この差を生むのは、たいてい睡眠時間の長さではありません。サイクルのどの地点でアラームに捕まったか、です。そこで今回は、睡眠サイクルの仕組みを最初から歩いてみましょう。この設計図が一度見えると、今まで不可解だった朝の多くに説明がつきます。
脳が一晩中回し続ける90分のループ
睡眠はひとつながりの状態ではありません。一晩に4回から6回繰り返されるループです。この分野の標準的な文献であるCarskadonとDementの概説(Principles and Practice of Sleep Medicine所収)が、その構造をきれいに描いています。各ループはノンレム睡眠から始まって段階的に深くなり、その後、鮮明な夢の大半が生まれるレム睡眠へ移ります。成人では一周がおよそ90分から110分。有名な「90分サイクル」はあくまで平均値の目安で、物理法則ではありません。あなたは80分かもしれないし、隣で眠る人は115分かもしれない。体は、きっちり揃うことに同意した覚えがないのです。
ノンレム睡眠の中には3つの段階があります。N1は入り口。うとうとと漂う数分間で、外を通るバイクの音ひとつ、そして私の住む通りには必ずバイクが通るのですが、それだけで一気に引き戻されます。N2は本物の眠りで、研究者が脳波計で見分けられる特徴的な波が現れ、一晩の約半分をここで過ごします。N3は地下室。徐波睡眠と呼ばれる深く重い眠りで、体の本格的な回復を担う段階です。N3の途中で起こされた人は、起動に何分もかかる古いパソコンのように再開します。
夜の前半のほうが価値が高い理由
ここからが、あまり語られない部分です。サイクルはどれも同じではありません。夜の早い時間帯に、脳は深いN3睡眠を前倒しで詰め込みます。最初の1、2サイクルがその大半を運ぶのです。夜が進むにつれてN3は縮み、レム睡眠が広がっていく。つまり自然な起床時刻の直前のサイクルは、浅い眠りと長い夢の時間が中心になります。CarskadonとDementは、まさにこの一晩を通じた構成の変化を記述しています。
この偏りは、日常の実感の多くを説明してくれます。短い夜でも、つらいながら何とか動けるのは、深い眠りは確保できていて、失ったのは主にレム睡眠と浅い眠りだから。早すぎるアラームの前の1時間が、やけに夢で濃密なのもこのためです。そして休日の寝だめで買い戻せるのが主にレム睡眠と浅い眠りで、すでに口座に入っている深い眠りではないのも同じ理由です。夜は平らな8時間のブロックではありません。最初に大きな支払いが来る住宅ローンのようなものです。
夜は平らな8時間のブロックではない。最初に大きな支払いが来る住宅ローンのようなものだ。
アラーム問題と、睡眠計算アプリが当てている部分
N3の真っ最中に起こされるのが、あの湿ったコンクリートの感覚です。睡眠慣性と呼ばれる、地下室で邪魔をされたことに対して脳が課すぼんやり税。一方、N1やN2、レム睡眠の終わりかけから覚めるのはずっと穏やかです。「90分の倍数で理想の就寝時刻を計算します」とうたうアプリに含まれる、唯一の正しいアイデアがこれです。発想は正しい。ただし精度はフィクションです。実際のサイクルは人によっても夜によっても揺れるので、枕に頭をつけた瞬間から、それは眠りに落ちた瞬間でもないのですが、90分きっかりを数え上げるのは、推測の上に築いた計算にすぎません。
実際に効くのは、もっと素朴で、正直に言えば地味な方法です。
- 起きる時刻を毎日そろえる。週末も含めて。安定したアンカーがあるとサイクルはリズムに落ち着き、体は最後の一周をアラームの近くで終わるよう自分で調整し始めます。
- サイクルのおおまかな倍数で、ゆるく逆算する。ベッドにいる8時間より、実際に眠る7時間半を狙うほうが、時計ではなくループを尊重した計算になります。
- 昼寝をするなら20分前後か、思い切って一周分。中途半端な長さは、N3に沈んだ直後に引き上げられる一番つらいパターンになります。
- 本物の減速区間を用意する。サイクルを分単位で設計することはできませんが、神経系が高速道路の速度のまま枕に到着して最初の一周を台無しにするのを、やめることはできます。
最初のサイクルを守る
力を注ぐならこの最後の項目です。最初のサイクルこそ深い眠りの積み荷を運んでいて、そして現代の夜が最も激しく攻撃してくるのもここだからです。メールを閉じた勢いのままベッドに転がり込むと、夜の冒頭という一番価値の高い時間帯を、ゆっくりとした不安な降下に使ってしまう。私自身の減速区間は、飾り気のない10分です。照明を落とし、スマホは部屋の反対側へ。そして目を休ませられる、ゆっくりした無害な何かを眺める。最近はFeelsyで、暗くほとんど動かないテクスチャを小さな音量で流し、コンビニに寄った夜のように頭が冴えて一日が終わってくれないときは、ガイド付きの4-7-8呼吸を一巡り。大事なのはアプリそのものではなく、降下が始まったという繰り返し可能な合図です。それがあれば、最初のサイクルは定刻に始まり、深く潜れます。
飲み会で睡眠アプリのグラフを見せて回る人になる必要はありません。必要なのは、この作業モデルだけです。眠りはおよそ90分のループで回る。深い眠りは早い時間に、夢は遅い時間に集中する。そしてアラームは、ループの上端で鳴るとき最も罪が軽い。起床時刻を固定し、最初の降下を守り、90分という数字を聖典扱いするのをやめて、あとはこの仕組みに任せましょう。誰かがアプリを作るずっと前から、休みなく働いてきた仕組みです。
Feelsyはウェルネスのためのプロダクトであり、医療上のアドバイスではありません。ストレスや不安、睡眠の問題が続く場合は、専門家に相談してください。
参考文献
- Carskadon, M. A., & Dement, W. C. Normal Human Sleep: An Overview. In M. H. Kryger, T. Roth, & W. C. Dement (Eds.), Principles and Practice of Sleep Medicine. Elsevier.
よくある質問
睡眠サイクルは何分ですか?
成人ではおよそ90分から110分がひとつのサイクルで、3つのノンレム段階を経てレム睡眠で締めくくられます。長さは人によっても夜によっても変わるため、90分ちょうどで機械的に計算してもなかなか現実とは合いません。多くの人は一晩に4回から6回のサイクルを繰り返します。
睡眠サイクルの各段階では何が起きていますか?
各サイクルはノンレムの3段階からレム睡眠へと進みます。N1はうとうとした短い入り口、N2は一晩の約半分を占める本物の浅い眠り、N3は体の回復を担う深い徐波睡眠です。レム睡眠では鮮明な夢の大半が生まれ、夜が進むにつれてサイクルごとに長くなっていきます。
長く寝たのに起きるとだるいのはなぜですか?
深い眠りの途中で目覚めた可能性が高いです。アラームは睡眠段階に配慮してくれないので、長く眠った夜でもN3の真ん中で終わることがあり、深い眠りから引き上げられると睡眠慣性と呼ばれる強いだるさが出ます。浅い段階から覚めるほうが、合計時間が短くても楽に感じられることは珍しくありません。
睡眠サイクルの計算アプリは当たりますか?
根っこの発想は正しく、サイクルの終わりに目覚めるほうが深い眠りの途中よりずっと楽です。ただし精度はフィクションで、サイクルの長さは個人差があり、眠りに落ちた正確な時刻も分かりません。毎朝同じ時刻に起きるほうが確実に同じ効果を生みます。体が最後の一周を自分で合わせてくれるからです。
深い眠りは夜のいつ訪れますか?
大部分は前半です。最初の1、2サイクルが深いN3睡眠の大半を運び、夜が更けるにつれて深い眠りは縮み、レム睡眠が広がります。だからこそ、終わりに1時間足すことよりも、きちんとした入眠前の減速と時間どおりの降下で夜の始まりを守ることのほうが効くのです。

著者について
Kurt Woleret
Contributing writer
Kurt is a New York based writer covering the practical science of stress, sleep and focus. He is the resident sceptic of the Journal: if a technique cannot survive a crowded subway commute and a deadline week, he is not interested in it.
Feel it for yourself.
Feelsy turns reading about calm into practising it. Two minutes of a slow texture is often the whole difference.
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