あくびはなぜ出る?うつる理由と「脳を冷やす」説を科学で解説
あくびが出る理由は酸素不足ではありません。脳を冷やすという有力説、あくびがうつる仕組みと共感の関係、午後の眠気との上手な付き合い方まで科学的に解説します。
著者 Kurt Woleret

ここでちょっとした実験です。実はもう始まっています。この数分のあいだに、「あくび」という言葉を何度か読んだだけで、あなたがあくびをする可能性はかなり高いのです。あくびについて読んでいる人、あくびのことを考えている人、通勤電車で誰かのあくびを見かけた人。経験上、満員電車では車両の半分がドミノ倒しのように連鎖します。私たちは生まれる前からあくびをしています。退屈なとき、疲れ果てたとき、そしてなぜか、大きな本番を前に緊張しているときにも。パラシュート部隊は降下前にあくびをするという報告まであります。これほど普遍的な行動なのに、「なぜ」に対する科学の正直な答えは、気持ちいいくらい定まっていません。理論をひとつずつ見ていきましょう。まずは、学校で習ったのに実は間違っていた説からです。
いいえ、酸素不足ではありません
昔ながらの説明では、酸素が足りなくなると、あくびで一気に取り込むのだとされてきました。わかりやすくて直感的ですが、証拠は何十年も前にこの説から離れていきました。実験では、二酸化炭素を多く含む空気を吸ってもあくびは増えず、純酸素を吸ってもあくびは減りませんでした。酸素需要が本当に跳ね上がる運動でも、あくびは誘発されません。あくびが何をしているにせよ、燃料補給ではないのです。すると当然の疑問が残ります。大きく顎を開き、深くゆっくり息を吸い、目がうるみ、周りの誰の役にも立たない一瞬がある。この大掛かりな仕組みは、いったい何のためにあるのでしょうか。
有力説:あくびは脳のエアコン
現在もっとも実験的な裏付けがあるのは、体温調節、つまりあくびが脳を冷やすという説です。大きな吸気と大胆な顎のストレッチは頭蓋のまわりの血流を増やし、入ってきた空気がその血液を少しだけ冷やします。こもった部屋で窓を開けるようなものです。脳は疲れているときや退屈なときに熱を持ち、狭い温度帯でこそ最高のパフォーマンスを発揮します。
この説が立てる予測は、驚くほどよく当たっています。あくびが脳を冷やすなら、人は寒いときより穏やかに暖かいときに多くあくびをし、外気が体温より熱いときには少なくなるはずです。熱い空気を吸い込んでも何も冷えないからです。研究結果はおおむねその通りでした。ある研究は、あくびには温度の窓があることを特定しました。うつるあくびは暖かいけれど暑すぎない気温で増え、寒さでも極端な暑さでも同じように減るのです(Massen et al., 2014)。日常のパターンにも合います。あくびがいちばん出るのは、目覚めと寝入りばな、つまり脳の温度が移り変わる一日のふたつの境目です。あくびは燃料の話ではなく、空調の話のようです。
あくびは脳のガス欠ではありません。次の状態へ切り替わる脳が、サーモスタットを調整しているのです。
あくびが噂話のように広がる理由
ここからが不思議な部分です。冷却説はひとりのあくびを説明できますが、あなたのあくびがいま私にうつった理由は説明できません。うつるあくびはそれ自体がひとつの現象で、どうやら社会的な配線の上で動いています。PLoS ONE誌のある研究は日常場面での自然なあくびを追跡し、あくびの連鎖がランダムではないことを発見しました。もっとも強くうつるのは家族のあいだ、次に友人、その次が知人で、他人は列のいちばん後ろでした(Norscia & Palagi, 2011)。社会的な絆が近いほど、あくびはうつりやすいのです。この勾配こそ、研究者がうつるあくびを共感と結びつける理由です。それも、神経系同士が許可を取らずに互いを映し合う、低いレベルの共感です。大切な人のあくびをもらうかどうかを、あなたは決めていません。体がその人の状態を「関係あり」として記録し、そのままコピーするのです。あくびについて読むことも同じ仕組みで働きます。だからあなたは今ちょうど、あくびの真っ最中かもしれません。待っていますよ。
あくびが本当に伝えていること
つまりあくびは、おおむね移行のサインです。脳がギアを切り替えるときに現れます。眠りから目覚めへ、覚醒からまどろみへ、落ち着きから大事なプレゼン前の張り詰めた状態へ。読み取る気さえあれば、これは役に立つ情報です。午後3時のあくびラッシュは、意志の弱さでも、4杯目のコーヒーが必要な証拠でもありません。脳が午後の自然な低調に印をつけているだけで、そこには刺激を増やすより本物の休憩のほうがよく効きます。発表前のあくびも、自分のスライドに退屈している証拠ではありません。システムが正しいギアに収まろうとしているだけです。そう知ってしまえば、むしろ妙に安心できます。
この仕組みと戦わず、味方につけることもできます。午後のあくびが来たら、定期メンテナンスの通知だと思ってください。立ち上がり、水を飲み、2分だけ画面より遠くにあるものを眺める。夜に向けて緩んでいくときは、明るい光ともう1話で、あくびの連鎖に逆らわないこと。あの連鎖は眠りへの出口ランプです。私はナイトテーブルでFeelsyを流しながらそこに乗ることにしています。ゆっくり流れるテクスチャと静かな音が、あくびの合間に目をそっと着地させてくれます。そこに4-7-8呼吸のエクササイズをひと回り。あくびと同じ深くゆっくりした吸気を、今度は自分の意思で行うのです。2、3サイクルもすると、あくびと吐く息が互いの文章を引き取り合うようになります。
次のあくびが出る前に、まとめ
私たちは燃料補給のためではなく、調整のためにあくびをします。もっとも裏付けのある説によれば、あくびは移行中の脳を冷やすもので、うつるあくびはあなたの神経系が周りの人たちとリズムを合わせている姿です。半分はサーモスタット、半分は握手。だから今度、会議で誰かがあくびをしても、退屈しているとは限りません。その人の脳は温度を変えているだけです。部屋全体が続いたら、おめでとうございます。少なくともこのチームには共感があります。
Feelsyはウェルネスのためのプロダクトであり、医療上のアドバイスではありません。ストレスや不安、睡眠の問題が続く場合は、専門家に相談してください。
参考文献
- Massen, J. J. M., Dusch, K., Eldakar, O. T., & Gallup, A. C. (2014). A thermal window for yawning in humans: yawning as a brain cooling mechanism. Physiology & Behavior, 130, 145–148.
- Norscia, I., & Palagi, E. (2011). Yawn contagion and empathy in Homo sapiens. PLoS ONE, 6(12), e28472.
よくある質問
あくびはなぜ出るのですか?
もっとも実験的な裏付けがある説は、あくびが脳を冷やすというものです。深い吸気と大きな顎の動きが頭蓋まわりの血流を増やし、入ってきた空気が血液を少し冷やします。あくびは目覚めや寝入りばな、覚醒とまどろみの切り替わりなど、脳の温度が変化する移行のタイミングに集中して現れます。
あくびは酸素不足が原因ですか?
いいえ。実験では、二酸化炭素を多く含む空気を吸ってもあくびは増えず、純酸素を吸っても減りませんでした。酸素需要が上がる運動でもあくびは誘発されません。酸素説は直感的ですが、証拠は何十年も前にこの説を手放しています。
あくびがうつるのはなぜですか?
うつるあくびは社会的な配線の上で動いているようです。実生活のあくびを追跡した研究では、家族間でもっとも強くうつり、次に友人、知人と続き、他人への影響は最小でした。この絆の勾配が、あくびの連鎖を、神経系同士が自動的に映し合う低いレベルの共感と結びつける根拠になっています。
午後にあくびばかり出るのはなぜですか?
午後のあくびラッシュは、多くの人が昼過ぎに迎える自然な覚醒度の低下を示すのが普通です。移行のサインであって怠けではありません。カフェインや刺激を足すより、短い本物の休憩、水分補給、数分間画面から目を離すことのほうがよく効きます。
あくびが出るのは退屈している証拠ですか?
必ずしもそうではありません。あくびは状態の切り替わりを示すので、眠気や退屈だけでなく、本番前の緊張でも現れます。大事な会議やプレッシャーのかかる場面の前にあくびが出るのはそのためです。あくびは脳がギアを変えているサインであって、話がつまらない証拠ではありません。

著者について
Kurt Woleret
Contributing writer
Kurt is a New York based writer covering the practical science of stress, sleep and focus. He is the resident sceptic of the Journal: if a technique cannot survive a crowded subway commute and a deadline week, he is not interested in it.
Feel it for yourself.
Feelsy turns reading about calm into practising it. Two minutes of a slow texture is often the whole difference.
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